第8章 *File.8*
雪乃のファーストキスを奪っておいて、今更どの口が言うんだ!
「だが、こればっかりはお前の意思で決めることじゃないよ、景光」
「!」
「そういうコト」
「!!」
「この先の未来のことなんて、誰にも分からない、だろ?」
「とっくに死んでるはずの俺達が今、生きてるみたいにな」
「……」
「覚悟しとけよ」
「手加減は一切しねえからな!」
ゼロと松田は、最大級の不敵な笑みを讃えてみせた。
「受けて立つよ。ゼロ、松田」
オレにある何かを、他の誰かに譲れたとしても。
雪乃の存在だけは、誰にも渡せない。
雪乃への想いだけは、誰にも負けはしない。
オレは二人に向かって、堂々とそう宣言してやった。