第8章 *File.8*
「うん」
「本職は?」
「風見と同じで僕と同じ。誰にも秘密だよ」
警視庁公安の刑事ではなく、警視庁公安の潜入捜査官なんだと。
同じ公安でも、風見さんみたいに表に出る刑事と、景光やゼロのように存在を消す捜査官がいることは、コナン君もよく知っているはずだ。
「そっか…」
「やっと納得したか?」
「…まあね」
ホントに?
まだ、物申したい感があるんだけど?
「よかったな、諸伏。ライバルがまた増えたぞ」
「またって、なに?全然嬉しくないから」
ため息を一つ洩らす。
「ところでコナン君、蘭姉ちゃんはいいのかい?」
「えっ?」
ゼロの言葉に、今度はコナン君がギョッとして顔を上げた。
「なんだ?小学生が二股してんのか?」
「松田、言い方」
景光が呆れた顔をする。
「「ぷっ」」
素直に顔を赤くして俯いたコナン君を見て、私とゼロは吹き出して笑った。
「しかしま、初対面の女の涙を見て惚れたって、お前、ホントに小学一年生か?」
「うん!」
「「「「……」」」」
絶対ウソだから!!
無邪気な顔して可愛く頷いても、誰一人として信用してないよ?
「?」
「今は、そういうことにしといてやるよ。な?」
陣平が意味深な表情でコナン君を見返して私達に同意を求めたから、
「「「だね」」」
私と景光、ゼロは頷いてみせた。