第8章 *File.8*
「こ、コナン君?」
「安室さんにそこまで遠慮無くヅケヅケ言う人、僕初めて見たよ」
「そう?」
「うん。雪乃さんのカレシは、安室さんにヤキモチを妬いて大変だね」
「小学生が、無邪気な顔して言うセリフじゃないと思うけど?」
「違うの?」
「「……」」
前言撤回!
やっぱり、こんな鋭い小学一年生はイヤだ!
「どうぞ」
「ありがと」
出されたアイスコーヒーを飲んで、落ち着くことにする。
カラン♪
もしや?
「松田、刑事?」
「お、今日はボウズもいるじゃねえか」
「ワザとか?」
「狙って来てる?」
「あ?」
私の隣に腰掛けて、陣平は首を傾げる。
「知り合い?」
「誰と?」
「雪乃さんと」
「ああ」
「ふぅん。でも松田刑事は、雪乃さんのカレシじゃないね」
「?」
「いや、だから、それを知ってどうするの?私とコナン君は今日が初対面だから!」
「コナン君は、雪乃のカレシが誰なのかを知りたいらしい」
「なんで?」
「雪乃を泣かせた原因の男に一言申したい。のかな?」
「別にそういうわけじゃ…」
「私もね、納得した上で逢えなかったんだから、カレにもし逢えたとしても、何も言わないでね」
「……仕事、で?」
「そう、だな」
私の代わりに、陣平が返答してくれた。
「君の方こそ、人タラシのようだな」
「!」
口角上げて、ニヤリと笑う。
その顔、一度コナン君に見てもらいなさいよ!
「ボウズは雪乃のカレシが、安室だと思ってたのか?」
「うん!あの時の安室さんと雪乃さんがそう見えたし、ついさっき口喧嘩をしてたぐらい凄く仲良いから!」
「そこで素直に頷かないで」
小学生のフリに年季が入ってるわ。
確かに景光とはさっきみたいな子供染みた口喧嘩はしないかも。ってか、そもそもする必要がないのか。
ゼロより景光の方が、言動が大人だから。
「まあ、見えなくなくはない」
コーヒーを飲みながら、頷く。
「陣平まで、そんなこと言うわけ?」
「松田刑事、実は安室さんに嫉妬してたりする?」
「ハア?」
「よく分かったな。だったら俺は、雪乃とキスでもしてみるか?」
素っ頓狂な声を出した私の隣で、陣平がニヤリと笑った。