第4章 *File.4*(R18)
「……な、流された」
と、ショックを隠せない表情で、一人呟く。
「くっくく」
もう、色々と反応や言動が予想を遥かに超えて来るから、その度に新鮮で楽しくて仕方ない。
「ズルい」
「雪乃が可愛いのがイケナイ」
「私の、せい?」
可愛い、には、反応しないのか?
「ずっと抱いていたいと、思うぐらいには」
「いや。普通に無理だから」
「それは体力的に?それとも気持ち的に?」
「どっちも!」
真顔で返事をしたかと思ったら、次の瞬間にはベッドの上に散乱していた掛け布団を物凄い早さで手繰り寄せ、すっぽりとその布団を被ってしまった。
「くっくくっ」
その行動力に驚かされたのは一瞬で、その後にはこんな状況にも関わらず、笑いしか残らない。
布団の中で丸まって、きっと赤くなって火照った頬を冷ましている雪乃を布団ごと軽く抱き締める。
「雪乃に出逢えて、本当によかった」
「……ぷはっ」
「!」
オレの声が届いたのか、もぞもぞと動いて布団から顔だけを覗かせる。
眼を見開いて驚いたオレに、
「私もよ、景光」
と、優しい声と共に、今度は綺麗な笑顔を見せる。
「やっぱり狡いのはオレじゃなくて、雪乃だよ」
「えっ?景光の言動に振り回されてるのは、私の方なのに!」
「そっくりそのまま、その言葉を返すよ」
「何で?」
キョトン、じゃないんだけど。
最早これは、天然?
これが本来の姿?
ダメだ。
油断したら、誰かに取られてしまう。
「……景光?」
まだ肩から下は布団に包まれた雪乃が、首を傾げている。
「……雪だるま。ならぬ、布団だるま」
「景光のせいだし」
視線を逸らして、プクッと頬を膨らませた。
「くっ、くくくっ」
一体何歳だよ?
今の雪乃は可愛くて、愛しくて仕方ない。
それに、抱いている時とのギャップが凄い。
「笑い過ぎ」
「雪乃が可愛いから」
「可愛くない」
「可愛いよ」
「うっ」
伸ばした指先で頬にかかる髪を避け、キスを一つ。
「ウソじゃないよ。雪乃はオレが今まで出逢った誰よりも可愛くて、綺麗だ」
「……首から上はそのままだけど、身体は微調整されてる」
「くっ」