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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第1章 *File.1*


「先に断っておくことが一つあって……」
「?」
「キミの存在を知っているのは、オレだけじゃない」
「!?」

夜も明けて来たし、何時までも寝室で話をするのもどうかと思い、リビングのソファに移動した。

「キミが突然やって来たものだから、オレもすっかりパニックって、ゼロと松田を此処へ呼んでしまった」
「!!」

真っ直ぐに絡んだ視線。
彼女の大きな瞳が、ハッとした色を映した。
この様子だと、松田のことも知っている。

「……一つだけ、お訊ねしてもいいですか?」
「オレに答えられることなら」

初めての質問。
彼女は、オレの言葉の何に反応した?

「貴方は今、何歳ですか?」
「26歳だよ」
「!」

年齢を聞くなり彼女の視線が直ぐにキョロキョロと動き始め、目に留まったのは、壁に掛けてあるカレンダー。

「ちなみに今日は、10月1日」
「……そう、ですか」

ホッと肩の力が抜けたのも束の間、フッと自嘲滲みた笑みが一瞬浮かんだように見えた。

「理由を聞いても?」
「お応えすることは出来ません」

ハッキリとした、拒絶。

「分かった。じゃあ、差支えがなければ、キミは何歳か聞いてもいい?」
「生きていたら、27歳です」

そこは素直に答えてくれるんだ?
ん??

「えっ?27ーっ?!」
「やっぱり見えないですか?母親譲りの童顔なので、よく言われます」

思わず叫んだオレに、彼女は冷静に応えた。
さっきよりは、生気を感じる様子で。
『私を殺して』
間違いなく、本気だった。
さっき何度か口にしたこの哀しい言葉は、彼女なりの精一杯の覚悟。
きっとオレに、この世界の誰にも迷惑をかけないために。
誰かと関わりを持ってしまったら、彼女自身がこの世界に未練を抱く。
そう、懸念したから。
やっぱり本当のキミは、とても優しい女性だよ。

「てっきり年下だとばかり……」
「老けて見られるよりはいいです」
「……確かに」

そこは男女共通だと思うよ、オレも。
正直、二十歳そこそこかと思っていた。

それから、半ば強引にお互いを名前で呼ぶように決めて…。
オレと彼女、二人の同居生活が始まった。


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