第1章 *File.1*
それでも。
キミのあの笑顔をもう一度見たいと思うのは、確かで。
本当のキミの姿を見たいと思うのも、確かで。
近い未来にオレが知らない何処かで、例え今みたいにキミ自身が望んだとしても、たった一人きりで亡くなったなんて知らせは聞きたくはない。そう願うのも確かで。
キミの言動にウソはないと、不思議と信じられるのも確かで。
オレはどうかしてるのか?
と、不安や疑問に思うよりも、先ずは自分の心を、この直感を信じてみたいと思ったんだ。
だから……。
「もう少しお互いのことを話そうか。オレもキミも感情的にならずに、ね」
自然に伸びたオレの掌は、彼女の柔らかな髪を撫でた。
うん、大丈夫。
やっぱりキミは、ちゃんとした生身の人間だ。
オレ達と、何一つ変わらない。
「……ありが、とう」
視線を逸らしたまま彼女は礼を述べたけど、やっぱり笑うことはなかった。
だけど、その小さな声には、確かに言葉通りの感情が含まれていたんだ。