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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第2章 *File.2*


「悪ぃ。マズった」
『どうかした?松田』
「アイツとハグれた」
『えっ?!』

仕事中の諸伏の驚きと呆れに満ちた大きな声が、街の雑踏の中でスマホ越しに響き渡った。



「勝手に来て、勝手に居着いて。宿無し文無し職も無し。ついでに彼氏無し。それを重々承知の上で、お願いがあります」
「最後の情報は要らねぇ」
「私、こう見えても女なので」
「その背格好で実はオトコって言われたら、尚更信用がなくなるな」
「お金を貸してください」
「「ハア?」」
「今後、自分で稼いで倍にしてきちんと返します。一筆も書きます」
「返済の件は後でゆっくりと。でも色々と気づかなくてごめん」

目の前で頭を下げたアイツに、思いっきり不満の声を上げた俺とゼロの隣で、諸伏は困ったように謝罪した。

「なんで?」
「だから、雪乃は女の子!」
「ここまで言えば察していただけるとは思いますが、女には女の事情がございまして、こればっかりは自分でどうにもこうにも出来ません。人様のお宅で大惨事は避けたいです」

まあ、な。
アレを買いに行けって言われたら、俺は無理かもしれねえ。
確かに相手が自分の嫁レベルじゃねえと、断るな。

「「…すみません」」
「謝られても困りますが、理解していただけたなら、それでいいです」
「早い方がいいんだろうけど、オレは非番がしばらく先なんだよね」
「俺も」
「…チッ」

俺かよ。
明日、非番だ。
クソ!

「じゃあ、頼んだよ。松田」
「すみませんが、よろしくお願いします」

こっちに来て約三週間。まだこのマンション付近を諸伏と数回しか外出したことがないコイツには、確かにナビが必要だ。
隣でホッとした表情をするゼロを、一睨みしておく。

「朝から出掛ける?」
「いえ、午後からで大丈夫です。二人でランチとか耐えられません。私が」
「心配するな、俺もだ!」
「それはよかったです」

カッとして怒鳴っても、何処吹く風だ。
可愛げの一つもねえ!!


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