第18章 *File.18*
「ワザとでしょ?」
「返事は?」
「⋯私も」
「ん?」
「景光に愛されたい」
「!!」
キミの方こそ、その発言はワザとだろう?
「ふふっ」
「降参します」
「わっ!」
言いながら、雪乃を横抱きにする。
「有難う」
「お礼を言うのは、私の方」
「何の?」
「何時もどんな時も何があっても、景光は私を愛してくれるから」
「うん。オレからの愛がしっかりと伝わってるのなら、安心かな?」
「⋯何が、安心?」
「自分の中で溜め込んだ想いや感情をどんなに一生懸命言葉にしても、人の想いや気持ちや感情は、相手に直接全ては伝わらないものだろう?」
「⋯確かにそうかも」
「オレはね」
「うん?」
寝室に戻るとベッドに寝かせて、開いたばかりのカーテンをまた閉めた。
「雪乃と過ごす時間が増える度に、キミが好きになる」
「私も出逢った時からずっと同じことを思ってる。景光へのこの想いだけは、自分では止められないの」
「生涯、オレに愛される覚悟は出来てる?」
「出来てなかったら、私は此処にいないよ。景光の傍にはいられない」
「⋯どうして?」
「貴方が本来出会うべきヒトがいたのなら、私は邪魔すべきじゃない。それでも私は、景光を愛してるの。景光の存在だけは、誰にも譲れない」
「全てはオレが、雪乃を愛してるから?」
「うん」
これは雪乃の本音。
もし何時の日か、オレの中にある雪乃への想いがなくなる時が訪れたら、それは即ち、雪乃がオレの傍からいなくなる日。
雪乃は迷うことなく間違いなく、直ぐ様その道を選ぶ。
誰が何を言おうとも。
誰が止めても何をしても。
誰にも告げずに、この世界でたった一人きりで生きていく覚悟を、今も持っている。
そして。
雪乃はその時を瞬時に肌で感じ取り、見逃さない。
それはきっと。
雪乃の意識とは無関係なトコロで。
「何の心配も不安も要らない」
「?」
「オレの、雪乃への愛は永遠だ」
「⋯どうしたの?急に」
「急に、じゃないよ。キミを好きだと自覚した時から、そう思ってる」