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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第18章 *File.18*


「何が?」
「もし雪乃が俺を頼ってくれるようなことがあったら、喜んで受け容れますから。で、貴方には口止めされても報告はしますよ」
「…時と場合により?」
「それは、そうですね」
「では、頼んでおこうかな?オレにとっても黒羽君は、信用のおける人だから」
「有難うございます」
「雪乃も工藤君に伝えていたけれど、君のこれからの長い人生に、大きな物を背負わせてしまったね。謝ってすむ問題ではないけど、大変申し訳ない」
「諸伏さんが謝ることは何もありません。雪乃を大切に思っているのは、守りたいと思っているのは、俺も同じですから」
「…妬けるな」
「やっぱり大変なのは、雪乃の方ですよ」

そう、断言した。
誰よりも雪乃を大切に想い、愛しているからこそ、そこに嫉妬の感情が乗っかってくる比率も高くなる。

「……」
「普段そんな素振りを見せなくてもきっと、雪乃は貴方の想いを全て受け容れているし、自分が生きていく上で貴方の存在が必要だと自覚もしてる。だから、安心していいと思いますよ」
「…さすがは令和の奇術師、か」
「当事者から見える景色と、第三者から見える景色の差、ですよ」

それでも俺が唯一尊敬してやまない初代怪盗キッドには、まだまだ敵わない。

「とても一回りも年下だとは思えない発言なのに、不思議と君の言葉は素直に受け入れられるよ」
「有り難きお言葉」

その場に立ち上がると、右腕を腹部の前で折り、言葉と共にスイと深く頭を下げた。

それは、令和の奇術師の如く気品を持って、紳士的に。

ローテーブル越しに正面に座る彼に心からの感謝の意と、尊敬の意を、込めて。


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