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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第18章 *File.18*


「雪乃がいないと落ち着かないか?」
「…そんなことは、ありま…す」
「くくくっ」

警視庁公安相手に誤魔化しが効くわけがないと正直に答えれば、テーブル越しに座る彼は楽しげに目を細めて笑った。
こうして見れば、ごく普通のイケメンだ。

「あれから、雪乃は?」
「今のところはあの日だけ。今は普段通りに仕事にも行ってるよ」
「それはよかったです…!」

安心と共に大きく息を吐いて、コーヒーを一口。
挽いたばかりのコーヒー豆をドリップしていたのをこの目で見てたとは言え、本格的な珈琲専門店の味がして驚いた。
雪乃が言ってた通りだ。
色々とすっげえな、この人。
何でもそつ無く、完璧に等しくやり遂げてしまう。それがさも当たり前かのように、無駄無く平然と。

「大事な時期に勝手に日時を指定して、すまなかったね」
「話をしたいと伝えたのは俺です。それに俺は冬休み中なので、お気遣いなく。不規則な生活をして多忙なのは、明らかに諸伏さんの方ですよ」
「確かに」
「それでも辞めないんですか?」
「ああ、辞めないよ。雪乃には申し訳ないけれど」

ハッキリと頷いた後、切れ長の瞳が真っ直ぐに俺の目を見返した。
きっと、一度ぐらいは直で言われているんだろう。
もうこれ以上、危険な任務は受けないで欲しい、と。
長い時間をかけて壊滅させたあの組織のことを考えれば、無理もない話だ。

「…本題の、雪乃の話を聞かせてもらっても?」
「雪乃本人から、初対面の君に何処まで話したのかを聞いた上で、秘密事項の詳細をオレから話す許可は得てる。ただ…」
「ただ?」
「万が一、詳細を知った君が原因で、この情報を他の誰かに知られてしまうようなことがあったら、君の生命の補償は出来ない」
「!!」

それは即ち、公安警察が俺共々全てを闇に葬ると言うことだ。
この世界にたった一人存在する、異世界からの訪問者である、望月雪乃を護るために。
諸伏さんを纏う雰囲気が、目付きがガラリと変わる。
それは警視庁公安部の彼とはまた違う、一人のオトコだ。
恐らく、これがあの組織に潜入していた時の彼。
コードネームはスコッチ。


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