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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第16章 *File.16*【File.10 番外編】(R18)*


「我らは信じている。お前達二人の、願いと想いを」
「はい……!」

覚悟を決めて頷き、瞼を開いた、次の瞬間だった。
音も無しに、彼の隣に女性らしき人物が現れたのは。
姿形の輪郭を、次第にハッキリと明確にさせて。
同時に、寄り添うように並んで視線を合わせた二人が、ふわりと優しく親しみを感じる笑みを洩らしたのは。

「えっ?」

ウソ、だろ?

「景光、お前も高明と共に努力の末に夢を叶えて、立派な警察官になったな。私達はお前達二人をとても誇らしく思うよ」
「ようやく掴んだその手を決して離すことがないよう、幸せになりなさい、景光」
「!!!!」

大きく見開いたこの目が映し出したのは、小学校一年生のあの夜に、突然喪った両親。
記憶の中にいる両親、そのままの姿で。
本来の穏やかな表情と、柔らかな優しい声音で。

「…父さんと、母さん?」
「「(コクリ)」」

二人は同時に頷くと、オレの背後を指さした。

「?」

後ろを振り返れば、少し離れた場所から雪乃が笑顔でオレを呼んでいる。
ああ、タイムリミットなのだと。
雪乃が待つ、あの世界へとオレは戻らねばならないのだと。

「……」

顔を元の位置に戻せば、既にそこに両親の姿は無く。

「お前の成長した姿をこの目で見ることが出来て、本当によかったよ、景光」
「高明にも宜しく伝えて。それから景光、貴方の可愛い雪乃さんにもね」

だけど、父さんと母さんの最期のメッセージはこの耳に、この心にしっかりと届いたよ。

「父さんと母さんに会えて、凄く嬉しかった。会いに来てくれて、本当に有難う。きっとまた、何時か何処かで」

もう姿が見えない二人にそう返事をしてから、踵を返した。
雪乃が待つ、オレが帰るべき場所へと歩き出す。
幸せな、優しい目覚めへと向けて。


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