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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第16章 *File.16*【File.10 番外編】(R18)*


「はじめまして、だな」
「はじめまして。貴方は?」
「望月雪乃を導き、彼女とお前を引き合わせた者の一人だ」
「!」

真っ白な世界。
目の前には、長身の男性が一人。
だが、少し距離がある上に、輪郭がぼやけていてハッキリとした姿形はこの目で認識出来ない。
その言葉に、深く頭を下げた。

「それは感謝の意か、それとも謝罪の意か?」
「感謝と謝罪、どちらの意もあります」
「噂に違えず、知性と理性、それに優しさを兼ね備えた中々の好青年のようだ。お前と出逢わせたあの日から、あの娘を愛し、見守り続けてくれている。そのことには、我々もお前に感謝せねばなるまい」
「有難うございます」
「だが、少々悩ませ哀しませ、泣かせすぎではあるな。お前が就いている職業、あの娘が置かれている状況、筋金入りの頑固娘であることを考慮しても、だ」
「はい」

声音に厳しい感情が含まれる。
自覚があるだけに、頷くしか術はない。

「もうあの娘の傍にいるのが面倒、元の生活に戻りたいと少しでもお前が望むのならば、今すぐにでもその望みを叶えてやるぞ?」
「自分自身が不甲斐ないと情けなく自信を喪失することはあっても、彼女と離れたい、彼女がいなくなればいい。そんな感情は一度として芽生えたことはありません。彼女がこの世界に居なければ、私自身がもう生きてはいけませんから」

万が一、嘘でもここでイエスと答えようものなら、ホンの一瞬で、この世界から即座に望月雪乃の存在を、望月雪乃を知る者の記憶さえも全て抹消してしまうだろう。
目の前にいる彼は。
八百万の神様の一人、なんだろうか?
だが、彼からは不思議と、厳格さの中に何処か懐かしさを感じられる、ような…?

「何故だ?」
「理屈や理由なんて、私自身も分かりません。ただただ、彼女の全てが愛しいんです。この生命が許す限り直ぐ傍で彼女を愛し、この手で彼女の笑顔を護り抜く。それが私の願いであり、私が生きる術です」
「そう、あの娘と約束もしていたな」
「はい」
「その願いに、あの娘を想う心に、嘘偽りはないようだ。お前のその願いと想いがこれからも揺ぐことがないか、然と見守っている。お前の生涯が終える、その瞬間まで」
「承知、いたしました」


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