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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第16章 *File.16*【File.10 番外編】(R18)*


「えっ?ヒロくん?!」
「……」

平日でもそれなりの集客力のある、大型ショッピングモールの一階フロアの一角。
正直、面倒なことになった。と、素直に思ったのは仕方ないだろう?
まさかの元カノとの再会だ。
オレの姿を見るなりこちらへ急ぐ元カノの後ろには、今カレらしい男がいる。

「お久しぶり、元気にしてた?」
「君も元気そうだね」
「ええ、お陰様で」

弾む声で、今更媚びを売るような、その笑顔は止めて欲しい。
そもそも、オレは君にフラれた側だ。
交番勤務の頃、仕事が忙しくて、まともに会うことも出来ずにいたのはオレのせいだとしても、別れる前に他の男と関係を持ったのは、君の方。
あの頃は確かに君が好きだった、よ。
話を聞いて別れた後、しばらく落ち込むぐらいには、ね。

「ヒロくんは一人で買い物?」
「…その呼び方は止めてくれないか?」
「えっ?」
「君とオレはもう何の関係もないし、彼にも失礼だろう?」
「!」

黙ったまま、気まずそうに彼女の傍で控えている彼は驚いたように目を見張ると軽く会釈してくれたから、こちらも頭を下げた。
見た目は大人しそうだが、誠実そうではあるから、彼女には勿体ないかもしれない。
きっとあれからも取っかえ引っ変え都合のいい男とばかりと、関係を持って来たのだろう。
別れてから六年程経ったとは言え、ブランド物を身につけて、少し派手になった化粧と服装を見れば安易に想像がつく。

「……」

気になってチラリと視線を移せば、この状況を把握したらしい雪乃が、御手洗へと続く通路の手前の壁に背を預けてスマホを眺めている。

「悪いけど、彼女を待たせてるから、もう行くよ。お元気で」
「…え、ええ」

本当の意味で別れを切り出す。
あからさまにガッカリした様子を見せられても、何も思わないから。
それどころか、もう二度と会いたくはないとさえ思うよ。
今の雪乃の心情を考えれば、ね。


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