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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第1章 *File.1*


身体を起こすのを待ってから、鎮痛剤の小さな錠剤を手渡し、口に含んだタイミングを見て、グラスに注いだ水を渡した。

「ありがと」

ふぅと、安心したように一息付く。

「ねえ、雪乃」
「うん?」
「まだ、信用してもらえない?」
「えっ?」

明らかにギクリと表情が強ばった。

「オレのこと」
「!」

向けられた視線がスッと逸らされる。

「キミが考えているよりはきっと、オレは雪乃のこと信用してるよ」
「どうして?」
「キミがとても心優しい人だから」
「それは、私じゃなくて!」
「ううん。雪乃はオレのこと、遠回しにゼロのこと、松田のこともちゃんと考えてくれてる」
「……」

フイと顔ごと背けたのは、照れを隠すため?

「もう二度と、オレは雪乃に拳銃を向けたりはしない。今此処で約束する。でももし、オレ以外の誰かがキミを狙うことがあったら……」
「……」
「その時は、オレがキミを護るよ」
「……どう、して?」
「オレの直感、かな?」

見開かれた瞳が潤んでいるのは、気の所為じゃない。
ああ。
この瞬間に、ハッキリと自覚した。
今直ぐに触れたいと願うほど、オレは雪乃が好きなんだ。
理由なんて、分からない。
だけど、雪乃に感じるこの想いは本物だ。

「ごめん」
「?」

一言断りをいれてから椅子から立ち上がると、雪乃を抱き締めた。

「ひ、景光?!」

まだ熱に侵されている身体の体温が、更に上がってしまったかもしれない。
好きだ。
今この場で、この気持ちをそのまま伝えられたらいいのに。

「だから……」
「……」

ミシッと音が聞こえそうなほど硬直した身体に、笑みが洩れる。

「もっと、ありのままのキミが見たい」
「……」
「ダメ、かな?」
「……っ」

髪に一つ口付けてから、耳元で訊ねる。

「雪乃?」
「!!」

腕の力を緩めて顔を覗き込めば、頬を真っ赤に染め上げて思いっきり困った表情の雪乃がいた。

「ふふっ。可愛い」
「……も、勘弁して」

どうやら、照れの極地らしい。
プシューと湯気が出ているのが目に見えそうなほどに。

「無理にとは言わない。でも、キミ自身が少しでもオレを信じたいと願ってくれてるのなら、もうその願いは叶っているから、どうか安心して欲しい」


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