第15章 *File.15*(R18)
「他に何処に辿り着きたい?」
「そこでいい。これ以上の幸せはないんだから」
何時何処に居ても何があったとしても、私は景光を愛してる。それだけは永遠に変わらない。
何時の日か、この身が亡び、例え魂だけになったとしても。
「そうだな」
「……」
負けました。
もう降参しますぅ。
その笑顔には勝てませんから!
「ん?」
「……」
分かってて、聞いてるでしょ?
「雪乃?」
今日はどうしても言わせたいの?
「景光、抱いて」
真っ直ぐに景光の目を見て、空いている右手で茶色の柔らかな前髪に触れる。
「!」
「離れてた時間、記憶がなくても、景光も不安だったんだね」
「雪乃のことは写真で顔しか知らないはずなのに、何故かキミに逢いたくて、触れたくてしかたがなかった。それから直ぐにオレを呼ぶ雪乃の声が聞こえるようになって、同時にゼロとの関係が心配になったんだ。オレの方こそ、雪乃をずっと不安にさせて哀しませた。ごめん」
「ずっと不安で心配で、諦めかけて淋しくてたくさん泣いたけど、景光は何も悪くないの。離れてた間、少しでも私と同じ想いを抱えてくれたのなら、嬉しい」
「有難う」
にっこり笑った景光の唇が、そっと優しく重なった。
「…んっ」
「やっと、オレだけの雪乃になった」
僅かに唇を離した場所で、安心したように呟く。
確かに記憶が戻ってからバタバタはしたけれど、昨夜、散々抱いたはず、ですよね?
「私は何処にも行かないよ?」
「知ってる」
「景光が好きです」
「うん」
「景光、貴方だけを愛してる」
「うん」
「……」
恋愛に、誰かが誰かを想う気持ちに、男も女も関係なくて。
相手の言動に心が一喜一憂されるのも、年齢なんて関係なくて。
相手を想えば想うほど、そういう感情がより一層激しく強くもなるもので。
「まだ、何か心配ごとがあるの?」
「……自分でも、よく分からない」
「心此処に在らず、みたいな感じに見える。私と離れていた方がラクだった?それとも、もう結婚したくなくなった?」
「そんなワケがないだろう?オレは雪乃に出逢ってから、一度だってそんなこと考えたことはないよ」