第15章 *File.15*(R18)
瞬間で悩殺された!
あれは反則でしょ?!
眠気が一気に吹き飛んで、心臓のバクバクが止まらない。これだけ血流が良くなったら、もうしばらく眠れない!
物の見事に、睡眠不足は何処か遠い遥か彼方へと吹き飛んで行った。
「雪乃?」
扉が開かれたと同時に、困惑したような声が頭上から降り注ぐ。
「どうかした?」
傍にしゃがみ込んで、ポンポンと髪を撫でられる。
「……瞬殺、された」
「?」
たまに無自覚、ド天然。
年頃の女性が百人いたら、全員イチコロだと思います、はい。
全員が全員、間違いなく彼の色気と誘惑に負けて、迷わず貴方のその手を取るでしょう。
「真っ赤な顔して、眠気が飛んだ?」
「……ん?」
今、眠気。って言った?!
もしかしなくても、まんまとハメられた?
天然じゃなくて、ブラック発動??
顔を上げて覆っていた掌の隙間から恐る恐る景光を見つめれば、ご機嫌そうにニコニコしている。
「やられた」
「何が?」
絶対に計画的犯行だ!!
「私のトキメキを返してっ」
「お望み通り、今からもっとときめいてもらおうかな?」
睨んでみても、景光の表情は揺るがない。
「寝るんじゃなかったの?」
「もちろん寝るよ、雪乃と」
「……絶対に意味が違う」
「自分でも驚くぐらい、オレは雪乃が好きで好きで堪らない。記憶が戻ってから、その想いがもっと強くなったみたいだ」
「……」
ブラックからの口説きモード?
の、更に裏は?
「だから、寝かせないことにした」
やっぱり!
それも堂々と言い切った!
「ヤキモチ妬き」
「!」
目を見張ったのは一瞬で、次の瞬間には抱き上げられて、ベッドの上に直行。
「ヒントを与えすぎたな」
「……そういう問題?」
「これからはヒントなしで仕掛けるよ」
「試されてる?」
「かもね?」
「ムッ」
「でも、オレが雪乃を愛してるのには変わりないよ」
「どれだけ遠回りをしても結局、最終的にソコに辿り着くの?」
ふふっと、笑みが洩れる。