第15章 *File.15*(R18)
「お前が言うと、ホントに会えそうな気がするな」
「信じる者は救われる。ってね……じ、陣平?!」
「松田っ!またお前は!」
「また?」
首を傾げた班長の傍で、雪乃を抱き締めた松田を剥がしにかかるが、
「俺もたまには癒されたい」
と、開き直って離さない。
「やれやれ」
「とか言う、お前も前科あるだろ?」
雪乃の頭上越しに松田がニヤリと笑って、ゼロに視線を移す。
「ないとは言わない」
「ゼロもっ」
何しれっと答えてるんだ!
「ウソは言わないよ」
「!」
「ほら、いい加減に離せ。諸伏が本気で怒るぞ」
「へーい」
班長が宥めると、松田はようやく雪乃を解放した。
「雪乃?」
「だ、大丈夫」
顔は真っ赤だが、どうやら身体は硬直していたらしい。
ふぅと、大きく呼吸する。
「びっくりしただけ」
雪乃は男に免疫があんまりないから。
本当は今直ぐ抱き締めて上書きをしたいところだけど、今は我慢するよ。
「そろそろケーキを食べようか」
「食べる!」
タイミングを計ったかのようなキッチンからのゼロの声に、雪乃は喜んでカウンター席に座った。