第15章 *File.15*(R18)
「童顔はゼロも同じー」
「ムッ」
「くっくく」
「人のことを笑ってるが、髭を剃ったお前も童顔だぞ。景光」
「「「確かに」」」
「オレ?」
ゼロの隣で、景光が驚いた顔で自分を指さした。
「「「うん」」」
「陣平仲間外れ~」
「うるせー!」
「男前なのにねー。それは三人一緒!」
「「「…ハア」」」
「?」
顔を見合わせた三人は、三人三様にそれぞれ深いため息を洩らした。
なんで?
「婚約したのか?」
「やっと、だけどな」
「おめでとう!」
「結婚式は何時だよ?」
「来年中にこじんまりとひっそりとする予定ではいるから、お前らも来てくれよ」
「喜んで!」
「おうよ」
松田の喜びの声に班長は照れているし、雪乃は自分のことをすっかり忘れているかのようにはしゃいでる。
今日は参加予定だったナタリーさんは急遽、仕事が入ったそうで、欠席になった。
「……」
まあ、いいか。
「ふーん」
「なに?」
「もしかして…」
「何もない」
ゼロのこの洞察力の良さはどうにかならないか?
頼むから、プライベートでその能力を発揮するのはやめてくれ。
それとも……。
相手が雪乃、だからか?
「雪乃」
「なに?」
「ネックレスを見せてくれないか?」
「えっ?」
「雪乃が光り物するの、珍しいから」
「「……」」
有無を言わさない、半ば脅迫めいたゼロの笑みが怖い。
どうやら似たようなことを思ったらしい雪乃と視線を合わすと、二人で沈黙した。
「お前ら、どうしたよ?」
「景光と雪乃が隠し事してるみたいだから、ね?」
「「!」」
オレと雪乃は顔を引き攣らせて、ビクリと震える。
「どうした、どうした?」
楽しげにこちらに来た班長に、ガッツリ腕を首に回された。
さりげなく、逃げ場なくしてるよね?
「ゼロに見つかっちまったら、もう隠し切れねえぞ?素直に吐いちまいな、景の旦那」
「……」
「悪いようにはしねぇからよ!」
「セリフが悪代官」
悪い顔でオレの肩にポンと掌を置いた松田に、雪乃が一言突っ込んだ。
「「「くっ、くくく」」」
班長と松田、ゼロの笑い声が響く中、松田の指先が雪乃の襟元に伸びて、服の下から出て来たのは勿論、婚約指輪。