第15章 *File.15*(R18)
「……雪乃?」
「会った」
「あった?」
それはモノ?
それとも人?
寝起き第一声に、夢の中で何があった?
そろそろ起こそうと思った矢先に、突然パチリと瞳を開いたから驚いた。
「萩原君に……景光、いい匂い」
「先にシャワーを浴びたからって、萩原に?」
「うん。私も起きる。今何時?」
「三時過ぎたよ」
「何ですと!あゔっ!」
抱き締めていた腕を緩めると、上体を起こしかけて、そのまま腰を押さえて固まった。
「凄い眺め、だけど」
「腰痛い!」
「……マッサージ、するよ」
眺めなんかどうでもいいから、どうにかして!と、涙目が訴えているから、そう答えるしかない。
「萩原と、話はした?」
「ン、会ったのは初めてだったのに、私のことも色々知ってたよ」
「へえ」
「…何か?」
「なにも思わなかった?」
「想像よりはチャラく、なかった?」
「チャラく……で?」
分からなくもない、けど。
「景光と同じこと言ってた」
「雪乃が責任を感じる必要は無いって話?」
「うん、その話をしたかったのに。って」
「それから、の続きが聞けて良かった。あとは?」
「イイ男、でした?」
「………」
やっぱり。
「ヒロミツくんはヤキモチですか?」
「当たり前」
「ヤダなー」
「……何が?」
憮然として言い返して腰に当てていた手を止めれば、するりと抜け出すなり、膝立ちで前から抱き締められた。
あの、さ。
今更だけど顔に、胸が、直に……。
もしかして、試されてる?
普段の雪乃からは考えられないぐらい、こうして大胆なことを不意打ちで平然とやってのける。
うん。
キミの恋人としては、とても嬉しいよ?
自分からするのと本人からされるのとでは、こんなに感じ方が違うのか…。
雪乃の胸は柔らかくて気持ち良いし、貴重な経験が出来た、ということにしておこう。
「どんなにイイ男が目の前に現れても、私にとって景光以上にイイ男はいません」
「証拠、みせて」
「うん」
ゆっくりと腕が離れ、柔らかな掌がオレの頬を撫でて包み込んだ後、ふわりと微笑んで重なった唇。