第15章 *File.15*(R18)
「警察学校時代に、公園の水道管が壊れたのを直してくれた、でしょ?」
「あー、あの少年少女!」
「あの日、萩原君があの二人に気付いてくれたから、陣平は助かったの。ハロウィンのあの日にゼロが助かったも、萩原君のお陰なの。だから、有難う」
「それは、よかった」
今の俺自身は知ってること、だけど。
それを知った上で、君は礼を言ってくれるんだな。
本当に、君って子は…。
まだまだ君に伝えたいことはたくさんあるのに、何時も時間は待ってくれない。
「じゃあ、またな」
「うん。また、ね」
何時か、必ず。
「雪乃チャン」
「なーに?」
小さな背中に声を掛けると、姿が薄れつつある雪乃チャンが振り返る。
「諸伏とお幸せに」
「ありがと!」
「あと、班長にもそう伝えといて!」
「…分かった!」
驚いて目をパチクリとさせた後には、満面の笑顔があった。
そうして目覚めへと向かう雪乃チャンに、手を振って見送った。