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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第15章 *File.15*(R18)


ガチャ

エレベーターを下りるなりゼロの部屋まで走り、急いで合鍵で鍵を開けると、靴を脱ぎ捨てて廊下を歩く。
廊下に響く大きな足音だろうが、今が真夜中だろうが関係ない。

バンッ

これでもかと言わんばかりに力を込めて、扉を開けた。

「……ゼロ?一体どうし、えっ?」

カーテンを閉め、明かりを消した真っ暗な寝室。
大きな物音に目を覚まして、上半身を起こし瞼を擦る雪乃に近づくと、無言のまま、きつく抱き締めた。

「…ひ、ろ?」
「雪乃、待たせてごめん」
「……記憶、が?」
「ああ」
「……よかっ、た」

震える声の後、ゆっくりとオレを抱き締めた。

「……もう、諦めてた」
「ごめん」
「さっき、神様に……もういいから、貴方の生命だけは私から取らないで、って頼んだの」
「……さっき?」
「私を呼ぶ、景光の声が聞こえた、から」

ああ。
時間差があっても、ちゃんと届いていたんだ。
だから、オレを呼ぶ雪乃の声も聞こえていたのか。

「雪乃」

抱き締めた腕を一度解いて、額を合わせる。

「うん」
「その……」
「?」
「ゼロとは、何も?」
「えっ?なんで?」
「とは?」
「だって、私の記憶はさっき、戻ったんでしょ?」
「記憶がなくても、時間が経つに連れてオレの心が教えてくれた。このまま雪乃をゼロに任せっ放しでいいのか?と、警鐘音を鳴らしてまで。ゼロ本人には、怖くて何も聞けなかった」
「……見つけた、の?」

コートのポケットから取り出したのは、剥き出しのままの婚約指輪。

「これを見つけたお陰で、一気に記憶が戻ったよ」

暗闇の中、ネックレスから指輪を外して、左手を取る。

「……此処で?」
「此処でいい」

ハッキリと頷いた。

「景光が心配するようなことは、何もないよ」
「本当に?」
「私もゼロも分かってる。それだけじゃ、もう一度指輪はもらえない?」
「……ズルいな」
「景光、貴方からの愛をもらうため。だから」
「この一ヶ月の間に、何があった?」

何処か違和感がある。とは言っても嫌なものではなくて…。
幼さが、少し抜けた?

「特には何も。ただ、景光が傍にいない時間が淋しかっただけ」

泣きそうな、笑顔。


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