第1章 *File.1*
「うん?」
入浴後、しばらくして。
何か身体が熱い?
自分の額に手を当てて、これはマズイと、キッチンに向かい冷蔵庫から水のペットボトルを一本取り出すと、家の全ての電気を消して、自分の部屋の布団の中に潜り込んだ。
恐らく、知恵熱みたいなモノ。
此処に飛ばされて、早半月。
良くも悪くもこの環境に、ようやく心身共に馴染んで来た。と言うことか。
喜んでいいのか悲しんでいいのか、複雑な心境なのは今も変わりはない。
まあ、明日にはこの熱は下がるだろうから、今はただ眠ろう。
「ふぅ」
倒れる前に布団に入れて良かった。
主のいない、静まり返った、この家で。
よく冷えた、ペットボトルを火照る頬に当てて。