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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第13章 *File.13*


「では、また後で。中身もちょー素敵なイケメン彼氏、さん」

お茶目なウインクと共に廊下に出た彼は、直ぐに姿と共に気配を完全に消し去った。

「!!!?」
「そこまで驚くの、初めて見た」

クスッと暢気に笑ってる、けど。
オレは今の状況も忘れて、呆然と彼の背中を見送ってしまった。
正体は、まさかの現役高校生?!
何時、何故の謎が一度に解けた。

「最初から、知ってたのか?」
「あの時、知ってるよって、私の方から。彼のことは何があっても絶対にナイショだよ」
「あ、ああ」
「知ってるのは私と貴方だけ。探偵さんも店員さんも知らないの」
「……」

シッと人差し指を口許に立てて可愛く笑う雪乃は、意外と状況判断が的確で、ポロッと固有名詞を洩らさない。
だが今は、自分の中で無理矢理感情を押さえ付け、冷静さを保っているだけだ。
その時、コツコツと、足音が静かな廊下に響いた。

「大丈夫だ。何があってもオレが護る」
「…うん」

足音に反応して身体をビクリと震わせた雪乃にキスを一つ落すと、ポケットの中のスマホの録音機能をONにした。


「どうして貴方が此処に…っ!」

扉があった場所で立ち止まると、雪乃の前に立つオレに目を見張った。
部屋を一瞥すれば、状況は瞬時に把握出来る。
計画は未遂に終わった、と。

「何故、こんなことを?」
「証人保護プログラムを受けたそこの得体の知れない女より、私の方がずっといい女だからよ」
「一般的に見たら君は美人だし、仕事も出来るし学歴もいい。だが、オレのこの目には彼女しか映らないし、彼女の過去には興味がない。今此処に彼女がいる。オレはそれだけで十分だ」

部下の歪んだ表情に、怒りの感情が加わる。
ある日突然終わってしまった、元の世界での彼女の過去の全てを暴こうとは思わない。
時々、思い出したように過去の色んな話を聞かせてくれる。
オレはそれだけで十分だから。

「私は貴方を、こんなに愛しているのに」
「有難う。だが、それだけだ。今もこれからもそれ以上は何もない」
「貴方の数ある功績にも傷が付くわ」
「何の問題もない」
「内部にリークしたら?」
「彼女のことは、最初から裏の管理官は知っている」
「!」
「私は貴女の存在を知った時から、貴女が羨ましかったの」


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