第10章 *File.10*(R18)
「お疲れさま」
何の連絡もしないまま、仕事が終わる時間を見計らって雪乃の職場の裏口近くで待っていたオレは、友人と裏口を出て来た雪乃にそう声を掛けた。
何時もと、普段と何も変わらない自分のまま。
「…どう、して」
「今日、退院したよ」
大きな瞳を目いっぱい見開いて、オレを見上げる。
さすがに今度は逃げられそうにはない、かな?
でも、雪乃の場合は行動が読み切れないから、やんわりと掌を握り締めた。
「お先。また明日ね」
「う、うん」
オレ達のただならぬ空気を読んでくれたらしい雪乃の友人は、手を振って、その場を後にした。
「ごめんなさい」
「雪乃が謝ることはないよ。今から一緒に帰っても?」
「そのつもりで、此処まで来てくれたんでしょう?」
「泣かせてばかりだな」
「景光が悪い」
「ごめん」
何時だって、オレを想って涙を流してくれる。
悪いことだけど、素直に嬉しいよ。
「…景光に、逢いたかった」
「うん、オレも」
よかった。
あれからお互いに、少しは落ち着けたみたいだ。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
零れた涙を指先で拭うと、握り締めた掌の指先を絡める。
雪乃がコクリと頷くのを確認してから、駐車場へと向かった。
「…そろそろ限界」
「えっ?」
本当は、雪乃の姿をこの目に映したその瞬間から、キミに触れたくて抱き締めたくて仕方なかった。
自宅の玄関先の壁に押し付けて、驚いて顔を上げた雪乃と唇を重ね合わせ、指先は衣服の中へと侵入させると、ブラのホックを外した。
「んッ!」
抗議はあったけど、あえて無視して胸を揉みあげながら胸先に触れる。
「!」
ビクビクと反応をしている間に膝を割って、自分の足を滑り込ませた。
「余裕がない」
「ひ、ろ?」
「ごめん」
「ひゃっ!あッ、ンっ」
スカートを捲し上げて、そのまま指を中へと進めると、既にそこは十分に潤っていたから更に深く押し込んだ。
「や、ンっ」
恥ずかしげに閉じようとする足を開かせて、指の抽出を早めると、濡れた水音が廊下に響く。