第6章 私、食べ頃です
お互い初めてという事と、場地君が無駄に律儀ということもあり、まずはとりあえず順序を大切にしようという話に纏まった。
手を繋いで夕飯の買い物をして、二人でご飯を食べて、お風呂も済ませる。
先に入った場地君のお風呂上がりの物凄い色気に、心臓が高鳴ったのは言うまでもない。
私も続いてお風呂へ。
その後は、ミネラルウォーターを机に置いてソファーに二人並び、テレビに目を向けるけど、内容なんて全く入ってなんかくるはずもなく。
どう切り出すべきか分からず、モジモジする私を知ってか知らずか、場地君はミネラルウォーターに手を伸ばし、喉に流し込む。
つい、場地君の行動が目に入ってしまい、横目で見ていると場地君に気づかれてしまう。
少し、気まずい。
「ふっ……何だその微妙な顔は」
「だ、だって……っ……」
笑う場地君の顔が真剣なそれに変わる。
「部屋、行くか?」
問われて私がゆっくり頷くと、場地君は私に手を差し出し、私はその手を掴んで立ち上がった。
無言のまま二人で私の部屋に向かう。
場地君が普通過ぎて、スマート過ぎて、自分ばかりが期待しているみたいで。
羞恥にまだ何も始まっていないのに、顔から熱さが広がっていく。
部屋に入ると、電気を点けようとする場地君の手を阻止する。
「は、恥ずかしい、ので……点けないで……」
扉を閉める音が妙に大きく聞こえて、体を固くする。
ベッドへ腰掛けて、薄暗い中で見つめ合う。
「……もう、戻れねぇけど、マジで大丈夫か?」
「……はぃ……」
ゆっくり近づいて、唇が触れる。
そして気づく。場地君も少し震えてる気がして、場地君の胸に手を当てる。
凄く、心臓の音が早くて、彼の緊張が伝わってくるようで。
「んっ、はぁ……ンぅ……」
「体……力入ってんな……怖いか?」
「緊張……してる……から……ンんっ……」
キスをしてるだけなのに、雰囲気に飲まれるみたいで、体の何処か奥が疼く。
場地君の唇が離れ、首筋に降りてちゅっちゅっと音を立てて吸い付いて、舌が舐め上げた。
身を捩らせる私の体が、ベッドに沈められて場地君の重みが体に伸し掛る。
サラリと場地君の綺麗な髪が頬をくすぐって、身を震わせた。