第4章 願いも想いも半分こ
見つめられて、ドキドキが止まらない。
「ガラじゃねぇし、今まで女相手に思った事ねぇんだけど……すっげぇが可愛くてたまんねぇわ……」
物凄い事を言われた気がする。耳を疑ってしまうけど、頭で反芻して顔に熱が集まる。
茹だって、溶けてしまいそうだ。
「っ……は、恥ずかしぃっ、からっ……急にそれ、は、ダメ、ですっ……」
恥ずかし過ぎて、その場に座り込む私に合わせるみたいに、手を握ったまま場地君がしゃがんだ。
ヤンキー座りというやつだろうか。それすら格好よくて、高鳴る鼓動が止められなくて、こっちこそたまらなくなる。
「何だその反応は……可愛過ぎんだろっ……」
顎に指を当てて顔を上げさせられて、場地君の目が私を誘惑するみたいに揺れた。
「あんま可愛いと、喰っちまうぞ」
「っ!!?」
片方の口角を上げて、場地君の少し意地悪な笑顔が視界を支配する。
意識が飛ぶんじゃないかと思うくらいには、もう何もかもが目まぐるしい。
「わ、私なんかっ、た、食べても、美味しくないよ?」
「っ……無意識かよ……」
茹でダコみたいになっているであろう顔を隠すみたいに、下向き加減になりながらも、場地君を目だけで見た。
自分の後頭部に手を当てて、場地君も同じように真っ赤になって下を向いて、大きな息を吐く。
二人して廊下で座り込んでいると、いつの間にか来ていた先生に不思議がられてしまった。
授業中も、なかなか身が入らないから、つい場地君を見てしまう。
「っ!?」
まるで二人の世界みたいに、時間が止まる感覚。
頬杖を付いて顔がこちらに向いていて、目が合って、優しい笑みを浮かべる場地君がいる。
ずっとドキドキしっぱなしで、心臓が壊れそう。
凄く、好きで、困る。
昼休みまで授業が頭に入らず、いっぱいいっぱいだ。
こんなので、この先やっていけるのだろうか。
屋上で並んでご飯を食べるけど、味がいまいち分からない。
場地君は、隣でカップ焼きそばを食べている。
「場地君て、それ、好きなの?」
素朴な疑問だった。場地君は、よくこのカップ焼きそばを食べているから。
「ん? おお。は、食べた事ねぇの?」
「うん、あまり……カップ麺を食べる習慣がないから」