第4章 願いも想いも半分こ
更に密着した場地君の熱と、自分の熱に思考が停止する。
観覧車が下に着くまで、私達のキスは終わらなかった。
帰りはどう帰ったか覚えていないくらいフワフワしていて、部屋に着いた途端には力が入らず、座り込んでしまった。
一日で凄い体験をしたと、呆然と天井を見上げる。
まさか、場地君とお付き合いする事になるなんて。しかも、キスまでしてしまって。
今更頭がパニックだ。
自分の唇に指を滑らせて、感触を思い出す。
場地君の視線までもがフラッシュバックして、再び熱を帯び始める体。
「つ、次会う時……どんな顔して会えばいいんだろうっ……」
羞恥に、ベッドにうつ伏せになり、足をバタつかせる。
そう思う反面、既に会いたくなっていて。
その日はあまり眠れなかった。
翌日、登校初っ端から靴箱の前で、場地君に遭遇してしまう。
言葉に詰まり、顔に熱が集まる。
場地君も少し戸惑いと、羞恥が顔に出ているようで。
「あー……よぉ」
「お、おは、よっ……」
ぎこちない挨拶をお互いにしている後ろから、小さなため息が聞こえる。
「あんたら、何してんスか……。中坊じゃねぇんだから……」
「うっせぇよっ!」
「場地さん痛いっ! 痛いスっ!!」
場地君の脇に、千冬君の頭がホールドされている。
「ふふっ……はははっ……」
「ちょっ、さんっ、何笑ってんスかっ……助けて下さいよっ……」
千冬君のお陰で、緊張も少し解れた。
「ほら、、さっさと行くぞ」
「あ、うん」
自然と声を掛けられて、私は場地君の背後に着いて行く。
距離はあるのに、聞こえてしまうのではと思うくらい心臓が高鳴っていた。
二人きりになると、やっぱりまだ多少は緊張する。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、場地君がチラリとこちらを見て、私の手を取った。
「昼飯、一緒に食わねぇ?」
「う、うん。もちろんっ!」
手が優しく握られ、照れながらも優しく笑ってくれる。
この笑顔が私にだけ向けられていると思うと、少しムズムズしてニヤけそうになった。
自分がこんなに欲深いとは、今まで知らなかった。
「場地、君?」
手を握ったまま、黙ってしまった場地君を見上げる。