第4章 願いも想いも半分こ
場地君の真剣でまっすぐな目に、心臓が高鳴る。
「あんま恋愛とかよく分かんねぇし……慣れてねぇから、何て言っていいか分かんねぇけどよ……」
慣れていないのは私も同じだ。だから、一生懸命な場地君の言葉を黙って待つ。
「それでもハッキリしてる事がある……。俺は、お前の事を気に入ってるっつーか……。お前と、ずっと一緒にいてぇって、思う……」
私の手を握る場地君の手の力が、少しだけ強くなる。
「私も……場地君と、一緒にいたい、です」
場地君をしっかり見つめて、答える。
「そっか……。じゃ、俺等……付き合う、か?」
「はいっ、お、お願いしますっ……」
「お、おうっ……」
お互いが照れながら、頭を下げる。
変な空間が生まれた事に、二人して笑う。
「何か、こんな緊張する事ねぇから、変な気分だわ」
「ふふっ、確かに……」
自然と沈黙が訪れる。
見つめている目が、離せない。
「……怖がらせたら……悪ぃ……」
「場地君だから、怖くないよ……」
私の言葉に、場地君の柔らかな笑顔を浮かべてくれる。
男らしくて、目つきのせいか、少しだけ乱暴なイメージがある場地君だけど、初めて見る柔軟で優しい笑顔に、心臓の動きが更に早くなる。
今更、何をされるかなんて予想出来ない程、子供じゃない。
顔が近づいていくのに、目がやっぱり離せなくて。閉じるのが勿体なくて。
「目、閉じねぇの……何か、興奮すんな……」
「ぅん……」
場地君の興奮と熱さで揺れる瞳に、こちらの体まで熱くなる。
唇がゆっくり触れて、離れる。
言葉もなくまた唇が触れて、離れてを繰り返す度に、触れる音が耳に届いて興奮が高まる。
「これ、やべぇな……止められる気がしねぇ……」
場地君の手が頬に滑って包み込み、耳裏に指が差し込まれて体が震えた。
舌がスルリと口内に侵入して来る。
「ふっ、ぁっ、んっ、はっ……」
「はぁ……お前も、そんなエロい顔すんのな……」
「ゃ……あまり、見なぃでっ……恥ずかしっ……」
顎に人差し指が触れ、下唇に親指が滑る。
場地君の触れ方が妙にいやらしくて、身を捩る。
激しさを増していくキスに、イスの端の方に追いやられて、壁に背がつき、場地君の空いている片方の手が、顔の横に付く。