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優等生さんと不良君【東リべ夢】〘場地圭介夢〙

第1章 優等生の皮を被った野獣




ぶつかられ、私の小さな体がよろける。

「あ、悪ぃ」

謝られた声に答える暇はなく、運動神経が悪くて反応出来なかった私は、簡単にバランスを崩した。

地面が近づいて来て、転ぶと思って目をギュッと瞑ったけど、いつまで経っても痛みは来なくて。

その代わりに、誰かに支えられている感触。

「アイツ等、危ねぇなぁ……。大丈夫か?」

見上げると、そこには場地君がいた。

教室にいた時とは違い、不良モードの場地君に、ドキリとしてしまう。

形のいい釣り眉に、鋭い目。相変わらず髪は後ろで結っている。ただ、今はオールバックにポニーテールだ。

何故こんなにも似合ってしまうんだろう。

出来のいい顔なのが、羨ましくて仕方ない。

「あ、あり、がとっ……」

「ん? 柔らかい……」

「え?」

場地君が呟いた言葉の意味が分からなくて、不思議に思って場地君に捕まったまま見上げて首を傾げる。

すると、胸に違和感と変な感覚。

「あっ、ンっ……」

「っ!!?」

場地君の手が動くと変な声が出て、咄嗟に口を押さえる。

場地君の驚きに見開かれた目と、赤い顔で場地君の手元に視線を移す。

胸に場地君の手があり、明らかに私の胸を包み込んでいる。

「うわあぁっ!」

「ひぁあっ!!」

飛び跳ねるみたいに離れた場地君と、座り込んだ私の間に変な沈黙が訪れる。

「悪いっ! マジでごめんっ!」

「え、あ、うん、だ、だだだ、大丈夫っ……ちょっと、驚いただけっ……だから……」

必死に言葉を絞り出す。

ただの事故なのは明白だし、彼は助けてくれただけで、ドジな私が悪いわけだから。

彼が責任を感じる必要はない。

まだ申し訳なさそうで、バツが悪そうな顔をしている場地君に、私は立ち上がって前に立つ。

まっすぐ目を見れないのを、頑張って見つめる。

「ほんとに、気にしないで。こんなの、何ともないからっ!」

言うと、場地君の眉が少しピクリと動く。

「あ? んなわけねぇだろ」

「ぇ……ぁ、ごめっ、なさっ……」

低く凄むような声に、体が縮こまってしまい、反射的に謝ってしまう。

「わ、悪ぃっ! いや、その、ビビらせるつもりなかったっつーか……。別に怒ってるわけじゃっ……」

居心地悪そうに頭を掻く。
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