第2章 シキミ
「三篠。主にいい態度だな、あまり調子に乗るなよ。」
白い布を被った夏目の頭の上でにゃんこ先生が話す。なんだこの猫は保健所にでも送ってやろうか。
「よく言うわ斑。印などつけさせて置いて用心棒が聞いてあきれる。」
「なに?」
そうだそうだ。大体この小さい体で何から守れるというのだ。三篠様の意見に賛同しにゃんこ先生を見る。
「私だったら自分のものに触らせるのも苦痛に耐え難いものがある。」
三篠はちらりとを横目で見る。
「夏目殿。そんな猫だるま見陰られたらいつでも申されよ。私がお守りしよう。」
「三篠様!?」
それは賛同できない。
「た、確かに夏目は初めてできた友達と呼べるものかもしれませんが、しかし三篠様の寵愛を受けるのはこのだけにしてくださいませんか?」
三篠様に向き直り願ってみるが、三篠様は嬉しそうに目を細め笑っている。お戯事なのかよくわからない。本気になってしまったらものすごく困る。
「コラ。誰が猫だるまだ!この大馬野郎」
「今意見が一致すると思ったのに、大馬野郎ですって?私の主様になんてことを言うの?このデブ猫!」
「なに!?」
とにゃんこ先生がもめている間に夏目と三篠は話を進め、呪いに詳しい妖を呼びに三篠はまた煙を巻いて消えていった。
「三篠様?」
「こら何!ヒノエだど?」
三篠様は私を残していったということはやはり何かお考えあってことだろう。
突然風に言い合いも止んだのかにゃんこ先生は空耳したヒノエを言う聞き馴染みのある名前に顔を青くしている。
「先生、知っているのか?」
「あぁ。あいつは、、、」
言葉にできなさそうなにゃんこ先生は夏目のフードに宙釣りになりながら口を濁した。
「ヒノエ様はお美しいお方だよ。人間である私にも話しやすい方。でも夏目には、、、」
「僕にもなんだって?」
夏目にはちょっと言いづらいというかその。えっと。