第2章 シキミ
手のひらサイズになったにゃんこ先生を見て目ひゃひゃひゃははと口を大きく開け笑い始めた。
「なんだそのへちゃむくれ面は!そうまでしてレイコに好かれたか!」
「おいこら。落ち着かんか!」
にゃんこ先生もヒノエと顔見知りなんだろう。仲良さげに話をしておる。いや怒っているのか?
「ヒノエ様、夏目が引いております。あのご相談があるのです。」
さんがヒノエを宥めやっとのことで本題に入れそうだった。
ヒノエは立ち上がりおれの方に向きなおした。
「で。そのレイコの偽物はなんだい。」
真剣な目だった。少し癖のある妖だがそれほどレイコさんのことを好いていてくれたのだろう。今から説明すのが少し悲しくなる。
「夏目レイコの孫、夏目貴志です。」
「孫?レイコはどうした。」
「当の昔に他界した。」
ヒノエはそうか。と声を漏らすとまっすぐな目に涙を浮かべ
「なんと短い。」と顔を下げた。
「だから好かんのだ。人は。」
「ヒノエ様。」
さんも悲しげな顔を浮かべヒノエに寄り添う。
「あの、使ってください。」
「寄るな男め。」
「レイコさんのために泣いてくれているんでしょう。」
ポケットに入っているハンカチを差し出す。
よかった。レイコさんは一人じゃなかったんだ。それだけでなぜか暖かい気持ちになった。
ズルズルと盛大にヒノエをハンカチで鼻をかんだ。