第2章 シキミ
りーんりーんと三篠特有の鈴の音がまた森に響く。
レイコ…レイコ…
どこからか声が聞こえると目の前にまた煙立つ。
「やっと我を呼んだか」
青と紫の水面に花びらを浮かせ美しい水紋が広がる着物が特徴的な妖が手を伸ばし飛びついてきた。
「麗しのレイコ!蔑むようなその目。薄ら笑いが似合う唇。どうしたんだその髪はまた人間に嫌がらせされたのかい?」
紫の口紅も印象的で長い青い髪はさんとは対照的でくるんとウェーブががっている。さんは綺麗に切りそろえられ芯が通っているようにまっすぐに伸びている。
しかし、妖とはいえ人の形を模している者に抱き着かれるのは苦しいというか異性の同級生に見られるのも結構くるものがある。必死に押し返してみるがびくともせず、祖母のレイコさんと間違え嬉しそうに体を撫でまわしてくる。
「ん?胸がない。」
ヒノエは思い描いているレイコと夏目の相違に気が付いたのか、それが胸という点はすごく恥ずかしいのだがわなわなとした表情で離れすぐに「おとこー!」と叫ぶと飛び跳ねさんの隣に飛んで行った。
「久しぶりねヒノエ様。」
「なんだい。がいるからついレイコと仲良くなったのかと思ったじゃないか!」
「それは、、、」
頭を抱え座り込んでしまったヒノエに手を伸べながらさんは苦笑していた。ヒノエとは旧知の仲なのだろうl。
「あいつは重度のレイコ好きだ。」
にゃんこ先生がフードに引っかかり宙釣りになりながらこの状況を説明してくれた。
「私は気持ち悪いよ....」
さんと頭を抱えながら話すヒノエに、にゃんこ先生が説明を付け加えた。
「心中お察しいたしますわヒノエ様。しかしお話を聞かせていただきたいのです。」
さんが再度慰めながらおれの状況を説明しようとしている。
「さらに男嫌いだ。」
はぁ。ついため息が漏れる。どうしてこう一癖も二癖もあるやつばかりなんだ妖は。
「ん?その声は斑か?」
ようやく少し落ち着き周りの声が聞こえるようになったのかゆっくりと振り返り布に引っかかっているにゃんこ先生を見つめる。
「なんでわかった!」