第2章 ヴァンパイアパロ2
「お、フランシス――ってめちゃうまそうやなぁ!」
店員らしき人物が、料理の乗った皿を手に立っていた。
眩い金髪をふわっと結び、碧い双眸はしずかな落ちつきを湛えている。
穏やかな微笑を浮かべる瞳はどこか悲しそうで、見るものに儚げな印象を与えていた。
綺麗な人――
フランシスと呼ばれた人物は、丁寧な所作で皿をテーブルに置く。
ギルベルトの頼んだホットケーキと、私の頼んだパフェがお出ましになった(ちなみに腹いせで一番高いパフェを頼んでやった)。
「わ~宝石箱みたい!」
「ごゆっくりどうぞ」
私の反応に微笑すると、彼は椅子に伸びているギルベルトに気づいた。
「あれ……あのときの刑事さん?」
一拍遅れて、ギルベルトも彼を視界に入れる。
なにかに気づいたのか、驚きに目をぱちくりさせた。
「……お、お前……」
「あのときはありがとうございました」
「い、いや……その、具合はどうだ?」
「カリエドさんのおかげでだいぶマシに。今はここでお世話になっています」
「そ、そうか」
「フランシスめっちゃ料理うまいねんで! 引き抜きってやつや!」
ギルベルトはアントーニョと彼を交互に見ながら、驚いた表情を次第に平静に戻していった。
ギルベルトは彼と知り合いなんだろうか?
私には一体なんの話かわからず、目をぱちくりさせる。
「そんなわけで、俺とこの凄腕フランシスはしばらくここにいるから、暇なときは遊びにきたってな!」
そんなのはお構いなしに、100パーセントまぶしい太陽の笑顔を向けられた。
え、えーと。とりあえず、いいお店を見つけたってことかな?