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【ヘタリア】ヴァンパイアパロ【APH】

第2章 ヴァンパイアパロ2


ギルベルトが肩で耀を担ごうとしたとき、

「あ、お構いなく、こちらで処理いたしますので」

冷静な声と、キーキーとなにかを引く音を連れて、扉からもう一人の人物が現れた。

荷台を引きながらこちらへ歩いてくるのは、菊だった。

「……なぜ荷台?」

「耀さんから、さんがヤンキーデビューする、と緊急の呼び出しがあったのですが」

「なんだそれ……」

「普通にいつもの腰救急パターンのようですね」

耀を見ながら、そう結論づけて菊はため息をついた。

荷台を耀のそばにとめる。

それから耀を支えているギルに、

「乗せてください」

と、こともなげに言った。

ギルは数拍遅れて、耀を荷台に乗せろ、という指示を理解する。

「……マジで荷台に乗せて運ぶのか?」

「えぇ」

引き気味のギルに、眉一つ動かさず菊は答えた。

なにか? とでも言いたげな顔だ。

菊がそんな雑な(失礼)方法をとるとは思いもよらない――

ギルの方は、そんな顔をしていた。

真面目な菊も、身内には(特に耀)案外あんなかんじですよ……

「あ、せや! せっかくだし菊ちゃんも食べてって!」

と、アントーニョが素晴らしいことを思いついたように声をあげた。

歩き去ろうとしていた菊の足が、ピタリと止まる。

「ギルが奢りやし、パフェとかケーキとかいろいろあるで!」

「……!」

「なんで俺が奢ることになってんだよ!」

バッと菊が振り返った。

目が爛々とした輝きを湛えている。

口のはしからよだれが垂れているように見えるのは幻覚かな?

「そうだよ! 宝石箱みたいなの、絶対菊も気に入るよ!」

「し、しかし……」

「耀さんはほっといてさ~ってどっちにしろ安静にソファで寝かせといた方がいいような……」

追い討ちを重ねる。

耀の心配はもちろんだが、まだ見ぬケーキやパフェに出会い、ギルの財布を圧迫したい思惑もあった。

それに、この騒ぎから一歩ひいた場所にいる彼を、――フランシスを、もっと知りたいと思った。

「…………で、では、お言葉に甘えて」

迷った末、菊がためらいがちに頷く。

やったーと歓声と手をあげるアントーニョと私。

騒がしさを増した店内で、次は何を頼もうか、私は嬉々としてメニューを広げたのだった。



(ギルの財布が)完
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