第2章 ヴァンパイアパロ2
「日中重装備してでも通いたいです」
「嬉しいですが、あまり無理はしないでねお嬢さん」
認定証と日中重装備、というワードで類推したのだろうか。
彼は私をヴァンパイアだとわかっているような口ぶりだ。
さっきの会話はわからなかったが、彼はなにか事情を抱えているように思った。
でなければ、こんなふうに寂しげに笑うだろうか?
と、アントーニョが私を見つめているのに気づいた。
「……?」
真剣なまなざしだった。
なにかを確信しつつあるような、期待をしているような。
不思議に思っていると、アントーニョはにこっと笑った。
「……たまに来たってな。親分サービスするで! こんなかわいい子が常連とか、フランシスもテンション上がるやろ!」
「ええ、そうですね」
「よっしゃ、じゃあ俺がエスコート役としてを連れてきてやるぜ!」
「絶対にお断りです!」
にわかに騒がしくなる店内。
ひとけの少ない時間帯でよかったと安心していると、
「――――――――――――――っっっ!!!!」
バーーンッ! と突然扉が開け放たれた。
皆が一斉に音源の方を振り向く。
叫び声とともに玄関から飛び出してきたのは、
「よ、耀さんっ!?」
「無事あるか!? グレてないあるか!? 不良デビューなんてにーに絶対許さない゛っ!?」
「ちょ、耀さん!?」
疾走途中で腰をおさえ、道半ばで膝をついた耀にあわてて駆け寄る。
うしろからもバタバタと足音が続いた。
青い顔をした耀は、痛みに顔をしかめてうずくまっている。
どう見ても腰をやってしまったようだ。全く。
「もう爺さんなんだから無理すんなよ」
私の気持ちをギルベルトが代弁する。
「あ、ちょうどよかった、耀、さっきこいつがちゃんに――」
「ああああああああだだだ大丈夫か? こっちにソファがあるから休もうぜ! な!」
奇声をあげてアントーニョを遮るギルベルト。
アントーニョにも代弁されかけたところで、やっぱりさっきのは故意のものだった、弱点は知られてしまった、と確信する。
本当に気をつけないと……