第2章 ヴァンパイアパロ2
「はーいそこまでや」
「「っ!?」」
突如、なにかが口に突っ込まれる。
これは……トマトッ!?
「なに公衆の場で堂々と警官がセクハラしとんねん。いてまうぞ」
現れたのは、アントーニョだった。
頭のおかしい殺し屋が、ターゲットを前にしてするような微笑を浮かべ(どんなだ)、ギルにヘッドロックをかけている。
とともに、私はギルと引き離されいていた。
……あぶないところだった…………
文字通り、血の気が引く思いをした。
「んなコワイ顔すんなよ、別になんもしてねーだろ」
「逆逆セクハラみたいなもんやろ。まだ認定証のないちゃん連行してどこに拘留するつもりやったんや。あかんわ、やっぱお前しばくわ」
「ぎっギブギブギブっ!」
「ひと思いに、やっちゃってください」
「任しとき、今世紀最大の後悔味あわせたるで」
「ちょっ、マジでやめ……ぐふっ」
鈍い断末魔を残し、ギルがくずおれた。
ちーん、という仏壇でおなじみの音が聞こえてきそうだ。
アントーニョは一仕事終了、とでもいうように手をパッパと払った。
のびているギルベルトをぞんざいな動作で椅子の上にどけると、アントーニョはにこっと笑いかけてくる。
「大丈夫?」
「は、はい! ありがとうございます。……ところでこのトマトは?」
「うまいやろー! 吸血衝動を鎮静化する作用があるねんで!」
「すっすごい!」
せやろー、と喜色満面なアントーニョ。
そういえば、以前耳にしたことがあった。
彼の一族が古くから住む土壌、水、生態系、それらを研究して、血の代価品となるものを研究しているとか。
にしても……すごい。確かに、冷えピタをはられたように、頭がスッキリした。
……アントーニョの頭のおかしい殺し屋がターゲットを(以下略)の笑みの方が、頭を氷水のバケツにぶち込まれたような覚醒をもたらしてくれたが……
「お待たせいたしました」
ふいに、背後で静かな声がした。