第3章 優しく愛でて、甘く溶かして
先に言われてしまい、もう覚悟を決めて口を開く。
「わ、か……若狭っ……」
「ん、よくできました」
言って、ゆっくりと唇を吸われる。
今までの男となんて比べ物にならないくらい、キスだけで気持ちよくて、満たされて。
好きな人とする事が、こんなにも幸せな気持ちになれるのか。
男の前で裸になるなんて、今まで幾度もあって、特に何とも思わなかったのに、今は顔から火が出そうになりそうなくらい、恥ずかしくてたまらない。
「こら、隠すな」
「だ、だってっ……」
顔を背けて、胸の前で腕をクロスにして体を隠す私の腕を、若狭が掴んで優しく退かす。
そんなとこまで優しい。
「へぇ、細っせぇ割に、胸あるんだな」
言われて、前に見た女の子を思い出してしまった。
「あ、のっ……」
「んー?」
首筋にキスをしながら、服のボタンを外している若狭に、控え目に言葉を投げる。
「こ、この間……んっ、私が先に帰っ、た、時、一緒にいた、女の子……って……」
「女? 誰の事……あぁ、千壽か」
彼が言うにはこの間の女の子は、明司先輩の妹らしい。そして私は、一番気になる事を聞く。
「……好き、なんですか?」
あの距離感は、余程仲良くないと有り得ない気がする。
けど、私の質問の何がおかしいのか、首筋に顔を埋めていた若狭が、顔を上げて私を見る。
そして、ため息を吐いた。
「え? あの……」
「お前、俺が好きな女いるのに、他に女作って違う女抱くような男だって思ってるわけ?」
まさか。でも、私を好きな訳じゃないだろうし、向こうが彼を好きじゃないとも限らないし。
「あの子、わ、若狭、に、凄く懐いてたっていうか……二人がその、いい感じに、見えたっていうか……」
言うと、またため息。
「アイツには、俺にというより、誰にもそんな感情ねぇだろうな。この先は分からねぇけど、今現在はあり得ねぇな」
そんなの分からないと言う私に、若狭はキッパリ「いや、ない」と言ってのける。
そして、私をまっすぐ見つめて口を開いた。
「ハッキリ言わねぇのが駄目なんだな、お前の場合」
「あの、それってどういう」
触れるだけの優しいキスをされる。
「、好きだ」
驚きのあまり、心臓が止まりそうになる。