第3章 優しく愛でて、甘く溶かして
どれだけ激しい行為をした後ですら、ぐっすり眠る事も、満たされる事もなかったのに。
気づいたら、気を失うように眠っていた。
目を開けると、若狭の綺麗な横顔がある。
寝顔まで綺麗で、眠る彼の唇に触れるだけのキスをした。
「……わっ!?」
離れようとした私の後頭部が押さえられ、また唇が重なった。
「お、起きてたんですか?」
「いや、今起きた」
言って、ふわりと笑う。
全てが優しく、魅力の塊みたいな彼に、一秒一秒惹かれていく。
この先、私の心臓は持つのだろうか。
「シャワーしたら、飯行くか。腹減った」
「はい」
「、敬語もやめろ」
「む、無茶言いますね……」
「無茶じゃねぇだろ。頑張れ」
片方の口角を上げて笑い、髪をくしゃくしゃとされる。
駄目だ。凄く幸せで、ムズムズして、走り出したくなるのを抑えるのが大変だ。
枕を抱きしめて、ギューッと体に力を入れる。
遠くで微かにするシャワーの音を聞きながら、何度もこの飽きが来ない幸せを噛み締める。
当分は思い出してはニヤけてしまいそうだと笑う。
若狭の後にシャワーを浴び、二人で手を繋いで外へ出る。
敬語はまだ抜けないけど、慣れる頃にはもっともっと、彼を好きになっているんだろうなと、また笑った。
[完]