第2章 仕事開始
「お前何やってんだよ~。トイレって出ていったっきり戻って来ねえし!」
「…おお玲王ー」
そう言って凪に駆け寄り肩を組むと、何故かギロッと私を睨む。
え、何、めっちゃ威嚇してくる。
この人は確か…あ、そうそう御影玲王だ。
「お前。凪に何か用か。」
『いいえ?トレーニングサボって寝てたみたいだから少し話してただけだよ。
…じゃあお迎えも来たみたいだし、私行くね』
私がそう言うと御影はくるっと身体の向きを変えて凪を見る。
「さ、凪帰るぞ。バカ斬鉄置いてきちまってるからな。早く行かねえと。」
「俺歩きたくない。玲王連れてってー。」
「ったく、少しは動けっつーの!」
そう言うと凪を背負って歩き出す御影。
「……あ。」
『…?』
「どうした凪。腹減ったか?」
何かを思い出したかのように声を出して、御影に背負われたまま顔だけ私の方に振り向く。
「…名前、聞けてない。
あんたの名前。」
『…小城陽菜よ。』
「さっき自己紹介あったろ?俺たちのお手伝いさんだよ。」
…お手伝いさんではない。
いや、手伝いはするんだけど、御影が言うと違うお手伝いさんになっちゃうから。
「…なるほど。お手伝いさんね。
あんたのさっきの話。わかんないことばっかりだったけど、あんたが変えてくれんの?俺の世界。」
『私は変えないよ?
自分で変えるんだよ、凪。』
私は真っ直ぐに凪を見て伝える。
凪はふーん、というような顔でまた前を向いて御影と共に去っていった。
『…何か疲れた。』
あの子達はちゃんとトレーニングしに行ったんでしょうね。