第1章 よいこにサンタは来るか
「私、疲れちゃったんで先に寝ますね」
二日間、待ちくたびれたんです
「えっ、折角こんなに作ってくれたのにゆめは食べないのか?」
「食欲無いんで良いです」
「そうか、じゃあ俺も寝るかな」
「(結局食べてきたから要らないんじゃん)」
彼の一言一句にイライラした
今一緒に床につきたくなかった
「月島さんはお酒臭いんで、お風呂に入ってからにしてください
食事は食べないんなら、ゴミ箱に捨てといてください」
「すまん」
「……、サンタさん、来ませんでしたね」
子供のような捨て台詞を吐いてリビングを出る
彼はやっぱりついてこなかった
布団にもぐって耳を澄ますと、カチャカチャと食器の音がした
音が頻繁になっているので、恐らく片付けているのだろう
スマホの画面を確認すると、23時前だった
腹は立っているけれど、流石に明日からの連勤に備えて寝ないと
人生で最悪のクリスマスになったな、と考えながらもベッドでしばらく布団にくるまっていると、うとうとしてきた
眠りの世界に入りかけたころ、寝室に月島さんが入ってくるのが分かった
彼は大きな体のわりに動きが落ち着いているため、物音があまりしない
大きな手が私の頭を優しく撫でた
我が儘ばかり言うので愛想をつかされてはいないかと少し不安になっていたが、その手からは愛情を多少なりとも感じてホッとする
そのまま意識を手放した