第1章 よいこにサンタは来るか
22時
1時間前にようやく【今から帰る】とチャットがあった
そこからだいたいの到着時間を計算して、食事を作ってテーブルをセットする
明日からは仕事なので、ゆっくりと夕食をするにはかなり遅い時間だが仕方無い
プレゼントは枕元に置いた
もちろん特別兵器のサンタのコスチュームも着た
鏡の前で出来映えを初めて確認する
「おお…これはエロい」
ワンピース形でありながら、キャミソールかつ丈が短くて露出が多い、それでいてスカート部分はふわふわと立体的で可愛い
棒立ちだと見えないが、振り返ったりしてスカートが翻ると、ふわふわのせいで隙間から付属のガーターベルトがチラ見えする
上もただのキャミソールではなく、肩の部分は太い赤のリボンだ
えっちなことをするには、リボンをほどかないといけないのが個人的に凄く良い、是非ほどいて欲しい
それを敢えて付属の、これまたふわふわで可愛いポンチョで隠す
しかし、しかしだ!このポンチョ前開きの為、谷間はしっかりと見える
エロい、エロいでぇ…チンポ先生ぇ
流石、コスプレ衣装にしては結構お高かっただけある
これならあの堅物能面坊主頭もイッパツよ
えっちな本でありがちの、玄関で彼が我慢できない、なんてことがあるかもしれない
「今夜こそ甘い夜を決めてやんよ!!」
その時、玄関でカチャリ、と鍵を開ける音がした
月島さんだ、と玄関まで小走りで向かう
到着すると、ちょうど扉が開いた
「おかえりなさー……あれ、月島さん」
「遅くなってすまん、ただいま」
待ち望んだ彼は、少し顔が赤かった
それは寒さによるそれでは無さそうであった
ふん、とアルコールの臭いが鼻を突く
「お酒呑んでますよね?」
「ああ、会社で少しだけな」
「もしかして、何か食べてきました?」
あ、やばい
普通に聞くつもりだったのに、声が予定よりもずっと低くなってしまった
不穏な空気を察した月島さんの顔が、しまった、と言った
無表情なようでいて、意外と感情が分かりやすい人だ
「いや、ケーキを少ししか食べていない
全然食えるぞ」
「……そうですか」
いったい彼は、クリスマスの日に誰とケーキを食べてきたのだろうか
彼の同僚は何人か知っているが、クリスマスだからとケーキを買ってくるとは思えなかった