第1章 よいこにサンタは来るか
結局クリスマスイブは、終電で帰って来たのでお祝いと言う雰囲気では無くなってしまった
晩御飯も、疲れた彼のリクエストでうどんという欧米から程遠いメニューになってしまう
「本当にすまん…」
「いえ、仕事ですからしょうがないですよ
おうどん美味しいですか?」
「ああ、うまい」
「良かったです」
ここまではまあぶっちゃけ予想の範囲内だった
しかし、月島さんは明日も出勤だと言う
私と仕事とどっちが大事なの、とは思ってもないが、流石に周りの平日仕事のカップル達と比べてしまう
ぶーたれてやろうかと思ったが、彼は遊んでいるわけではないし、何か言ったところで仕事量が減るわけでもない
なによりクリスマスに喧嘩は嫌だった
「明日はなるべく早く帰るから、クリスマスしよう、な?」
「期待して良いんですか?」
「……努力する」
期待しろ、と無責任に言わないところが彼らしかった
申し訳なさそうなしおらしい態度に吹き出してしまう
「ふふ、年末なんで仕方無いですよ
サンタさんが来てくれるように、いいこで待ってます」
「ああ、ありがとう」
「サンタさん……来ますかね?」
「………、どうだろうな?」
「………、コンビニとかでも、良いんですけど」
「………、おう」
「(どっちだろう)」
我慢できずに聞いてしまったが彼の態度は煮えきらず、プレゼントが用意されているかどうかはわからなかった
しかし、私にはクリスマスの特別兵器があるのだ
プレゼントの有無はそこまでは関係ない
いや、あれば嬉しいけども
明日はどのカップルにも負けないラブラブの夜にする自信のある兵器だ
そうとは知らない月島さんは、機嫌を悪くしなかった私にホッとした表情を見せていた
呑気な顔をしていられるのも今のうちである、うふふ