第9章 ゾンビの世界(白石、謙也)
謙也「なっ……嘘やろ…死んでしもうたんか?」
「この人…ゾンビに噛まれたのよ。言ったでしょ?噛まれたらゾンビ化するか死ぬって。」
白石「そんな………そや!!涼子!!お前のさっき引っ掻かれた傷は!?」
謙也「せや!お前も手当てせな!」
「私は大丈夫よ。言ったよね?私もゾンビだって。この程度の傷なら簡単に再生できるわ。便利でしょ?急所をやられなきゃ死ぬ事はないの……あっ…ゾンビで死ぬってのも変か?」
白石「ホンマに大丈夫なんか?」
「大丈夫だよ。蔵ノ介と謙也君は怪我ないよね?」
白石「俺らは怪我はないで。」
「良かった。2人は私が守るから……ゾンビに噛まれないように気を付けてね?」
謙也「いや…俺らも自分の身くらい守れるようにせんと。」
白石「そやな。とりあえず涼子の足手纏いにならんようにせな。」
「………無理しなくていいんだよ?」
白石「……無理なんかしてへんよ。」
本当はかなりキツいんや…。でも涼子の前で弱音吐きとうない。
謙也「そうや…別に無理なんて………ゔぅっ……」
謙也は泣き出しつられて俺も泣いてしもうた。
「こんな世界来たら泣きたくなるよ。私だって来たばかりは恐ろしくて毎日泣いたよ。でも更に恐ろしいのはずっとここに居るとこの生活に慣れてしまう事…。ゾンビを斬っても人が死んでも『あぁ…またか…』くらいの気持ちになって涙が出なくなるんだ。」
白石「……涼子も…大変な思いしてたんよな。でも…こんな時でもお前にまた会えてよかったなんて思う自分も居るんや…。」
「蔵ノ介……」
白石「なぁ…頼むから…少しだけ触れさせてくれへんか?」
「……ダメだよ。私は死体みたいなもんなんだから……!?蔵ノ介!謙也君!!逃げろ!!」
白石「えっ……」
謙也「うわっ!!また出た!!」
またもゾンビが俺ら3人目掛けて襲って来る。
謙也「なんでこんな!何回も襲われなあかんねん!!」
「2人が生きた人間だからよ!!仲間を増やす為に生きた人間を求めてるの!!それと……仲間にならなかった私を始末する為…」
白石「そんなっ……」
「兎に角2人は逃げて!」
涼子はまたチェーンソーでゾンビ達を斬りつけていく。ところが離れれたところに居たゾンビが1体涼子近付き噛み付こうとした。