第4章 君だから。【まふまふ】
『あ、やっぱりそうですよね.......なんで、私を助けたんですか』
その質問でどこか気まずい空気が流れる
やってしまった。心のどこかで後悔した
「きれいな、歌が聞こえたからです」
私をまっすぐ見つめてふわりと、優しく微笑んだ
『聞こえて、いたってことですか』
「まぁそうなりますね」
穴があったら入りたい
恥ずかしい。めちゃくちゃ歌が上手いまふまふさんが私なんかの下手っぴな歌声を聞いていたとか
「たまたま散歩してたらビルからすごい綺麗な歌声がきこえて、なんだろうって思って言ったら自殺しようとしてる人がいたので助けました。それだけです」
『助けないでほしかったです』
「無理ですね」
私のなかのなにかが切れた
ギリギリ繋がっていた糸がプツリと切れた音がした
『もう少しで!!あの子に会えたのに!!余計な事しないでください!!』
そこまで叫んでハッとした
仮にも彼は命の恩人で有名人だ
『あ、すみません!』
「大丈夫ですよ。気にしてないですから」
まふまふさんは悲しそうな顔をしていた
なぜ、貴方が悲しむんですか?
「僕は、花子さんに死なれたら困ります」
『まふまふさんと私は初対面ですよ?なんであなたが悲しむんですか?』
「君がライブに来てること、知ってるからです」
『え?』
素からでた疑問符
認知されてたってこと?
「花子さんはライブでいつも楽しそうにペンライトを振っていました、僕に対してではありませんでしたけど」
「でも、その笑顔が可愛くて」