第4章 君だから。【まふまふ】
ふわりとした浮遊感が私の右足を襲う
片方だけで立つのはなかなかキツイ
身体の体重を右足にかければ重心がぐらつく
ついに、死ぬんだな
呑気にそんなことを考えながら目を瞑る
誰かに右手を掴まれた。
そのまま右手を引っ張られ前から後ろに体が傾く
信じられない状況に目を見開くことしかできない
引っ張られた衝動でバランスを完全に崩してしまった
優しく誰かさんに抱き留められ、そのまま抱きしめられた
は?????????
「危ないですよ、自殺なんか」
『いや知らない人を抱きしめてる貴方のほうが危ないですよ』
反射的に言い返してしまったがこの綺麗なソプラノ音、聞き覚えしかない
首が取れるんじゃないかってレベルの速さで後ろを振り向き固まる
なんということでしょうか
天界を追放された有名なバーコード堕天使ではありませんか
ま「もうしないでくださいね?」
『ひぇ.......』
きらきらひゃくてんまんてんのぱーふぇくとすまいる.....
これが天使の威力か....
脳内お花畑状態で一人でギャーギャー騒いでいるとまふまふさんは私の手を引いて縁から離れる
そのまま向かい合ったまま沈黙が流れる
黙ってると尚更面がよく見えるの恐ろしすぎた
「名前、教えてもらえますか?」
『田中花子です、まふまふさん、ですか?』
「あ、そうです。一応まふまふで歌い手やってます」