第1章 探偵チームKZとS・A
「あの、助けてくれてありがとうございます」
彩がお礼を言うと、黒髪の高校生はニッと笑いました。
「あんな酔っ払い、大したことねえよ」
「手にちょっとケガしてる。絆創膏、絆創膏……」
「いや、大丈夫、大丈夫、こんな傷。それより、気を付けてお家に帰りなよ。じゃ、オレはこれで」
「あ……」
やっと絆創膏が鞄の中から見つかったところで、黒髪の高校生は走り去ってしまいます。
彼がいなくなったあと、彩は落とし物に気付きます。
「これ、あの人が落として行ったものかな。英語のノートだ。名前もちゃんと書いてある。東堂明(とうどうあきら)さんって言うんだ、あの人。カッコ良かったな」
彩はニヤニヤしながら、黒髪の高校生が落としていったノートを拾い、帰宅して行ったのでした。
次の日、彩は彼が落として行ったノートを届けに行こうと考えていました。しかし、彼がどこの高校か分かりません。
彩は放課後、秀明ゼミナールにいる仲間たちに相談しに行きます。仲間たちは探偵チームKZを名乗り、彩もKZのメンバーの一員です。
「よぉ、アーヤ」
KZのリーダーの若武和臣(わかたけかずおみ)が声を掛けて来ました。