第1章 探偵チームKZとS・A
「おはよう、若武」
「おはようの時間じゃないだろう。もう夕方だぞ」
「アーヤ、何かあった?」
黒木貴和(くろきたかかず)が尋ねると、彩は鞄から東堂明の名前が書かれた英語のノートを取り出します。
「それ、どうしたの?」
「落とし物か?」
小塚和彦(こづかかずひこ)と上杉和典(うえすぎかずのり)が、彩の出した英語のノートに注目していました。彩は頷き、説明をします。
「そう、落とし物。昨日、塾の帰りに高校生たちに絡まれてね」
「何だと!? どこの誰だぁ!?」
「ほら、最後まで話を聞いて」
カッとなっていた若武をおさえた黒木です。
「そうそう。私はこの通り無事なんだし。でね、黒髪の男子高校生が助けてくれたの。あの絡んできた高校生三人とやり合ったときに、ノートを落としたんだと思う。あの人が背負っていたリュック、そういえばチャックが開けっぱなしになってたみたい」
「じゃあ落としちゃうよね、ノート」
小塚が苦笑して言いました。
「英語のノートなんだけど、助けてくれた東堂明さんに返しに行きたいんだ。でも、東堂明さんの通っている学校が分からなくて……」