第1章 アイチと櫂、謎の秘境の山地へ
バーベキューの準備はアイチと櫂と三和の班、カレーの準備はミサキとカムイとアイチの妹のエミと新田店長の班に分かれて準備を進めます。
準備はそれぞれ着々と進んでいるはずでした。アイチと櫂で登山し、木の枝を集めていたときです。
「おーい」
「か、櫂くん」
奥の方で声がしたため、アイチが櫂に知らせに行きます。
「何だ?」
木の枝をたくさん拾っていた櫂が首を傾げていました。
「今、おーいって声がしたんだ」
「誰かいるのか。オレが行って来るから、お前は三和たちのところに戻ってろ」
「ううん、ボクも行く」
「……勝手にしろ」
この言葉は櫂なりの「ついて行っても大丈夫」という意味で、アイチは喜んで櫂のあとをついて行ったのでした。
「確か、向こうの方で声がしたんだ」
「今のところ、誰もいないようだが」
「おかしいな。すみませーん、誰かさっき呼んでましたよねー」
アイチが大きな声を出して呼びかけましたが、木霊が返ってきただけでした。
「おい、返事をしろ」
櫂も大きな声を出しましたが、同じく木霊が返ってくるだけです。