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【ヒロアカ】19Hzの瞳孔

第2章 はじまり


そこから話し合いの末、週一で様子を見に行くこと、物件はオールマイトが選ぶこと…などを条件に、エマに押し切られる形で同意してしまったのだ。



ーーー

私は、家建 築男(36)。

不動産屋を営むこと、約10年。
非凡な不動産王の父から生まれた、平凡な男である。


「マンションの角部屋…2階以上は絶対で」

「女性専用だと…いやしかし、その方が寧ろ危険と聞くこともある。同フロアだけ女性とか…」

「オートロックは絶対で、出来ればプロヒーローも御用達の…家賃はいくらでも。」


鬼気迫っていた。
これほどの圧を感じたことは未だかつてない。

まるで世界をその背に背負っているような…と言っても、来店した男性は人体模型のように痩せていて、時折咳き込んでいるので、世界を背負うとは真逆に見えたが。


聞けば、愛娘が進学と同時に一人暮らしを始めるので、その物件探しに来たらしい。

今までも、娘息子可愛さに暴走状態で訪れる親御さんは沢山いたが、なんというか、気迫がエグい。

ほんとに言葉通り100万でもポンと出して来そう…それも現ナマで。


「ええと、雄英高校付近でセキュリティの強いところ…こちらとかどうでしょう」

こういうの、まずはそこそこなところ紹介して、内見で口八丁誤魔化して1番いいところですよ〜ってするんだけど、そんなことしたらもう商売できなくなる。そんな気がする。

というわけで、秘蔵のとっておき4件の資料を即、渡した。



ーーー

ところ変わって、No.1ヒーロー自宅。


「エマ、面接どうだった?」

「うん、好感触。」


出前の寿司を食べながら、2人で物件の資料を見る。


「不動産屋、代わりにありがとう」

「それはね、エマに何かあったら…」

「そんな心配しなくても大丈夫だよ。」

そういうところが心配なのだ、と言っても理解してくれないだろうなとオールマイトは苦笑する。


「にしても、エマが特別推薦を使うとはね」

「パパには言わなかったけど、私はずっとそのつもりだったよ。だからリカバリーガールを、あなたに紹介してもらったの。」

「ムム、そんな時期から…!抜け目ないね」



「だって、”お父さん”の子だもの。」


口角が緩く笑みを浮かべた。


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