第6章 USJ
取り敢えず第一段階はクリアかな。
死柄木と脳無を視界から外さないようにしながら、エマは少し安堵した。応急処置すらさせてもらえない相手だったら、この選択肢は悪手だった。
「お前、癒守エマだろ?」
「私はあなたに覚えがないのだけれど」
「あぁ…そうか…。あんたが」
皮膚が落ちるんじゃないかというくらい首を掻いていた手を、死柄木はぴたりと止めた。
「脳無、そいつは殺すな」
「何故…」
読めない。死柄木のそのワケが読めない。
彼はどうして私を知っていて、何故殺すなと言うのか。
否、今考えても結論は出ない。
それよりも殺さないのであれば、もしかするとラッキーかもしれない。かなり無理しても致命傷になる攻撃は飛んでこない。
時間稼ぎしたい自分としてはラッキー…、殺されない限り、自分は全快できる!
「オールマイトは諦めるが、アンタは連れて行く」
「…そう。きっとそれは骨が折れるよ」
エマがそう言った瞬間、死柄木はガクッと膝から崩れ落ちた。
「効いたね、筋弛緩薬」
「あ?お前いつ、」
いや、覚えがある。最初だ。
こいつの不意打ちで、脳無がどうなったのかに気を取られた。
その後に走った僅かな手の痛み……
「チッ‼︎脳無、そいつさっさと壊せ‼︎」
死柄木の癇癪を皮切りに、2人がぶつかる─────‼︎